糖尿病内科
当院は、慢性腎臓病とその関連疾患の治療を得意とする病院として東葛エリアの地域医療に貢献しています。その経験から、最近は生活習慣病に根ざした糖尿病由来の慢性腎臓病の患者さんが増えていることが分かっています。そこで、慢性腎臓病の予防も含め、糖尿病の治療に積極的に取り組むために「糖尿病内科」を設けました。
糖尿病について
糖尿病(DM、Diabetes Mellitus)は、膵臓のインスリン分泌の低下やその作用不足によって、血液中のブドウ糖が慢性的に高くなる病気です。この状態が長く続くと、全身の血管が障害され、さまざまな合併症を引き起こします。 糖尿病が怖い病気といわれるのはそのためなのです。
糖尿病に伴う合併症
主な合併症には以下のようなものがあります。特に「網膜症・腎症・神経障害」は糖尿病の三大合併症と言われています。
  • 網膜症(眼底出血、新生血管等)、白内障、緑内障
  • 腎症(たんぱく尿、浮腫)
  • 神経障害(手足先のしびれや痛み、感覚鈍麻、立ちくらみ、便秘、発汗異常、排尿障害、インポテンツ等)
  • 脳梗塞、脳出血
  • 狭心症、心筋梗塞
  • 閉塞性動脈硬化症、壊疽(えそ)
  • 感染症など
糖尿病の合併症は、糖尿病であることを早期に発見し、血糖コントロールをきちんと行えば、 その発症と進行は予防できるといわれています。しかし、糖尿病の早期の段階では自覚症状がないため、糖尿病とは気づかず、長期間、放置してしまうことがあります。 また、尿に糖が出るので糖尿病という名がつけられていますが、糖が尿に出ないことも少なくなく、糖尿病と診断するには血糖値やヘモグロビンA1cがどのようになっているか、血液の検査をしなければなりません。気づいた時にはすでに失明の危険性がある糖尿性の網膜症や、人工透析の原因となる腎症などがかなり進行してしまっていることがあります。そういったことがないよう、定期的に血液や尿の検査をすることが重要です。最近では、肥満に伴って発症する境界型(糖尿病予備軍)や軽症の糖尿病が注目されています。いわゆるメタボリックシンドロームと言われるもので、放置しておくとやがて真性の糖尿病となり、脳卒中や心筋梗塞といった命にかかわる大血管障害を引き起こす可能性があるからです。
糖尿病の治療について
糖尿病には1型と2型があります。また、肝臓や膵臓など他の疾患によって起こってくる糖尿病もあります。
1型は何らかの原因(自己免疫など)で急激にインスリンが作られなくなる糖尿病で、若い人に多いとされています。
一方、2型は遺伝的な体質や過食、肥満、運動不足、ストレスといった生活習慣と関係してインスリンの分泌やその感受性が低下して徐々に発症します。日本人の糖尿病は、ほとんどがこの2型で、90%以上を占めています。
当院では、薬物療法とともに、患者さんのライフスタイルに合わせ、食事療法や運動療法のきめ細かい指導を積極的に行っています。また、血糖コントロールだけでなく、肥満、高血圧、高脂血症、喫煙等の合併症進展因子にも積極的に介入、情報提供し、その予防が行えるよう治療計画を立てています。外来でのインスリン導入も行っています。
糖尿病の予防について
日本人は歴史的に農耕民族として多くの人に”倹約遺伝子”が備わっているといわれています。これは、天変地異によって生じる予測できない飢餓から身を守るための優れた仕組みとされています。しかし、この少ない食料(カロリー)で効率よく生活できる能力は、現代のような飽食、運動不足の時代においては、逆に太りやすい体質をつくってしまいます。また、日本人は欧米人に比べインスリン分泌の潜在能力が低いといわれています。食べ過ぎの状態が続くと、それだけ多くのインスリン量が必要となりますが、その能力が低いため、軽度の肥満(過食)でも糖尿病を発症しやすいというわけです。ですから、糖尿病を予防するためには普段から暴飲暴食を避け、適度な運動を行い、ストレスを貯めこまないよう充分な睡眠と休養をとることが大切です。
担当医師(非常勤)
川越 千恵美(かわごえ ちえみ)
東京女子医科大学卒、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医
恩田 洋紀(おんだ ひろき)
 
龍野 一郎(たつの いちろう)
東邦大学医療センター佐倉病院 糖尿病・内分泌・代謝センター客員教授